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デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
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英語は英語で学ぶ

高校の新学習指導要領案は「英語の授業は英語で行うことを基本とする」という方針のようです。当然のことではあるのですが日本でやるにはいくつか問題があります。まずは英語をまともに話せる教師がいないという点。それからそもそも日本にいる限り英語は必要ではないという点です。

英語教師なのに英語が話せないというのは本来は問題のはずですが、高校までの英語教育が大学入試を前提としていて、そこでは英語を日本語に翻訳することが求められているので、話せないのは致し方ないかもしれません。本気で変えるつもりなら大学入試も変える、場合によっては撤廃するぐらいの大改革が必要不可欠だと思います。

そして英語を話す必然性がないというのが最も大きいかもしれません。デンマーク語を習っていたときははじめは英語で説明されていたけど、授業が進むにつれ説明もデンマーク語になっていき半年もすると英語はほぼ使わなくなりました。デンマーク語をデンマーク語で学ぶ状態になり、ここまでくると上達も加速していくような気がしました。しかし、誰もがこれについてこれるわけではなく先のクラスに進めずしばらく足踏みしている人もいれば、途中でやめてしまう人も結構いました。そもそも英語ができることを前提にしたクラスで、英語ができればデンマークでは暮らしていけるのでデンマーク語は必須ではないですから仕方ないかもしれません。

デンマークでデンマーク語を習うにしてもそうなのだから日常で英語を使う必要のない日本で英語を習うのではなおさらです。自分も帰ってきてから2,3回しか英語で話していません。

日本人が英語を話せないというのは話すトレーニングをしていないのだから当然です。語学はスポーツと同じようなもので反復練習で体に覚えさせていくものです。いくらルールを覚えてもやったことがなければできるようにはなりません。でも今の教育がまったく無駄かというとそうではないとも思います。少なくとも大学までいけるだけの教育を受ければルールは大体把握しているはずですからあとはトレーニングするだけ。何もないところからはじめるよりははるかに早く、論理的に身につけられるはずです。

自分もデンマーク語を習うときはみっちり鍛えられてきた英文法の知識を元にしたので、半年習って基礎的なことはわかるし、簡単なことは言えるようになってきました(聞き取りはまだまだ難しいけど)。

しかし、ほとんどの人にとって英語を話す必要性がないという事実はしばらく(ほぼ永遠に?)変わらないので、今までどおりの教育で必要な人は半年ぐらいみっちり鍛えられれば、多少たどたどしくとも一般的なネイティブよりまともな内容の話ができるようになるのではないかと思います。要は何を話すかです。

となると最終的に行き着くのはいかに母国語が使えるかということになるので、英語云々より国語教育を変えるべきではと思います。小説を読んでその解釈を覚えさせられるより、自分で考え、その考えを発信するような教育をするべきだと思います。それが世界を相手にしていくうえで一番重要なことです。
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-23 19:13 | 英語