デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
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注意一秒怪我一生

2,3週間前会社のメールに大学から実験の際の注意喚起の案内が来ました。その内容はt-ブチルリチウムの発火事故で学生が死亡という事故に関してで実験をする際にはくれぐれも注意するようにとのことでした。

事故の内容などはリンク先を見てもらえればわかりますが、t-ブチルリチウムは空気中で発火する物質で非常に危険な薬品です。しかも溶媒として使われているのがペンタンというガソリンよりも燃えやすい炭化水素なので事故のように噴出せばあっという間に火炎放射器の出来上がりということになります。危ないもの、毒性のあるものというのは活性が高いということなので合成化学では重要な試薬であるわけですが、扱いには細心の注意が必要です。自分のいた研究室ではt-ブチルリチウムを使うときは後ろで消火器を構えていてもらうことになっていました。自分は使ったことないですけど、似たような試薬は使っていましたね。ちなみに火は出したことはありませんが、消火活動は何度かしたことがあります。その一つが今回の事故物質に近いt-ブチルグリニャール試薬だった気がします。

大した量じゃなければ周りにある可燃物をどけて自然消火を待ってもいいんですけどね。あせって消火器を使うと勢いでビンを倒して延焼なんてこともよくあるようですから。基本的には事故を起こした人は気が動転しているので何もさせず、周りが対処するのがより安全です。そのためにも一人では実験をしないというのが大切なのですが、なかなか大学の研究室だとそうも言っていられない場合もあります。まあこれはシステムの問題でもあるので改善のしようはあると思います。

かく言う自分も昨日試薬の溶液をこぼしてしまって白衣と実験台、床の一部を黄色に染め上げてしまいました。まあ食用の天然色素なので害はない、どころか薬、健康食品として使おうとしているものなので大丈夫なのですが、もはや白衣ではなく黄色衣(一部だけど)になってしまいました。それでも一瞬の気の緩みが大惨事につながることはままあるので注意力が衰えたら無理してやってはいけないなと思います。ということで週末はゆっくり休みます。
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by Y-Iijima_PhD | 2009-02-21 00:12 | 化学