デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

<   2008年 12月 ( 8 )   > この月の画像一覧

大晦日

今年も残すとこ後数時間。去年の今頃はIceland旅行から帰ってきて、コペンハーゲンの中心で花火が飛び交うさながら戦場のようなところで年越しを迎えました。今年は家でのんびり、テレビはつまらないのでネットを見たり、MHFをやったりしていつの間にか年越ししていそうです。

今年はいろんなところに行ったし、いろいろと変化がありました。仕事も変わったし、住む場所も国すら変わったし。何があったかは過去のブログを見ればわかりますが、はじめたのは3月からなのでそれまでも含め今年一年を振り返ります。

1月 コペンで仲のよかった友人の日本帰国
    祖父が亡くなったため急遽一時帰国(3泊5日)

2月 デンマーク語の授業開始

3月 イースターに友人を訪ねてCroatia旅行
    ポスドク契約、ビザ延長

4月 年休を消化するためPraha旅行

5月 デンマーク語の進級テストを受けてレベル2へ

6月 Hamburg、Göteborg旅行
    新たな友人と知り合う
    誕生日パーティーを開いてもらう

7月 有給でPoland旅行

8月 友人の結婚式
    ポスドク延長不可を告げられる

9月 デンマーク語レベル2終了
    デンマーク国内で次のポジションが見つからず帰国準備開始

10月 日本帰国
     ベンチャーで働き始める

11月、12月 とにかく仕事 

主だった出来事をあげるとこんな感じです。デンマークにいたときは旅行ばっかりのようですが、普段の生活も仕事して、その後は語学学校に行ったり、合気道に行ったり、週末は友人と会ったりとかなり充実していました。しかし、日本に帰ってきてからは仕事ばかりで他に何もしていません。通勤時間が長すぎるのが原因の一つではありますが、周りの人も仕事以外しない人たちだというのも影響しているような気がします。やはり年明けから時間を有効に使うため通勤時間30分以内のところに引越します。運動不足解消のために自転車通勤できるところがベストです。

そもそもはまだデンマークにいたかったのですが、やはりこのご時勢では仕事を見つけるのは難しい状況でした。今思えばすでにデンマークは金融危機の影響を受けて不況入りしていたのでしょう。それに就職活動のスタートが遅すぎたのもあります。ポスドクの契約は4月に一度延長して、10月以降はまだわからないということでしたが、完全にダメとわかったのが8月の頭ぐらい。でもその前から一応求人サイトを見てめぼしをつけたり、実際に応募してみたところもありましたが、普通にやるにしても半年ぐらいは期間が必要でしょう。遅くとも4月、できれば年明け早々ぐらいから動き出していれば何とかなったかもしれませんが、その当時はポスドク延長が最優先だったのでそこまで考えることもありませんでした。

とりあえず日本で2、3年のポジションにつけそうな感じなので、そこでスキルを磨いて次のポジションへつなげていこうと思います。いまさら終身雇用もないし、こちらも一箇所に縛り付けられたくないのし、安定は特に望んでいません。それよりは年功序列のない風通しのいい職場で、ハイリスク、ハイリターンでエキサイティングな仕事がしたいです。となると日本にはあまりなじまないので外資、できれば海外の研究所というのを見据えていこうと思います。

明日から新年。全く実感がないけど新たな気持ちでいこうと思います。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-31 17:55 | 日常

英語は英語で学ぶ

高校の新学習指導要領案は「英語の授業は英語で行うことを基本とする」という方針のようです。当然のことではあるのですが日本でやるにはいくつか問題があります。まずは英語をまともに話せる教師がいないという点。それからそもそも日本にいる限り英語は必要ではないという点です。

英語教師なのに英語が話せないというのは本来は問題のはずですが、高校までの英語教育が大学入試を前提としていて、そこでは英語を日本語に翻訳することが求められているので、話せないのは致し方ないかもしれません。本気で変えるつもりなら大学入試も変える、場合によっては撤廃するぐらいの大改革が必要不可欠だと思います。

そして英語を話す必然性がないというのが最も大きいかもしれません。デンマーク語を習っていたときははじめは英語で説明されていたけど、授業が進むにつれ説明もデンマーク語になっていき半年もすると英語はほぼ使わなくなりました。デンマーク語をデンマーク語で学ぶ状態になり、ここまでくると上達も加速していくような気がしました。しかし、誰もがこれについてこれるわけではなく先のクラスに進めずしばらく足踏みしている人もいれば、途中でやめてしまう人も結構いました。そもそも英語ができることを前提にしたクラスで、英語ができればデンマークでは暮らしていけるのでデンマーク語は必須ではないですから仕方ないかもしれません。

デンマークでデンマーク語を習うにしてもそうなのだから日常で英語を使う必要のない日本で英語を習うのではなおさらです。自分も帰ってきてから2,3回しか英語で話していません。

日本人が英語を話せないというのは話すトレーニングをしていないのだから当然です。語学はスポーツと同じようなもので反復練習で体に覚えさせていくものです。いくらルールを覚えてもやったことがなければできるようにはなりません。でも今の教育がまったく無駄かというとそうではないとも思います。少なくとも大学までいけるだけの教育を受ければルールは大体把握しているはずですからあとはトレーニングするだけ。何もないところからはじめるよりははるかに早く、論理的に身につけられるはずです。

自分もデンマーク語を習うときはみっちり鍛えられてきた英文法の知識を元にしたので、半年習って基礎的なことはわかるし、簡単なことは言えるようになってきました(聞き取りはまだまだ難しいけど)。

しかし、ほとんどの人にとって英語を話す必要性がないという事実はしばらく(ほぼ永遠に?)変わらないので、今までどおりの教育で必要な人は半年ぐらいみっちり鍛えられれば、多少たどたどしくとも一般的なネイティブよりまともな内容の話ができるようになるのではないかと思います。要は何を話すかです。

となると最終的に行き着くのはいかに母国語が使えるかということになるので、英語云々より国語教育を変えるべきではと思います。小説を読んでその解釈を覚えさせられるより、自分で考え、その考えを発信するような教育をするべきだと思います。それが世界を相手にしていくうえで一番重要なことです。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-23 19:13 | 英語
毎日景気が悪化しているのを知らしめるニュースばかりで本当にいやになってきます。内定取り消し、派遣切りが取り立たされる中、今期の就職活動は本当に厳しいものになっています。自分も休職中ですがこのあおりを受けて次が決まる目処は立っていません。まあポスドクなんて日本の社会からすればはみ出しもので、そもそも会社からの求人がない上、採用は新卒ではなく中途ということになりますが普通は会社での経験もなく、しかも不況時には中途採用から抑える企業が多いようなのでほぼ絶望的といえます。

新卒にしても就職がいいほうである化学系も世界同時不況の影響で雇用はかなり深刻化している印象を受けます。まあマスターは口は減るだろうけど何とかなるかな。しかしドクターとなるとかなり危ないかもしれません。今までドクターでも採用していた会社も枠を減らすだろうし、今までは選ばなければあると思っていたようなところはそもそも経営が立ち行かなくなってきている可能性もあります。ポスドク問題といえば今まではアカデミックの椅子取りゲームだったわけですが、今回は普通に就職浪人も現れてくる可能性が高いんじゃないかと思います。まあこのご時勢ですからそれも当然といえば当然なのかもしれないですが。ドクターの進学率も下がっているから今までほど大きくはならないでしょう。その分ますます誰も関心を持ってくれなくなりそうですが。ポスドク問題はこの不況で一気にハードランディングして手打ちになって政府としてはラッキーとなるかもしれません。

今年は就職協定のためうちの大学ではまだマスター、ドクター新卒の就職活動は始まっていません。例年であれば製薬会社の場合はすでにほぼ終わりの時期です。ここまで急速な景気の悪化は企業も予想していなかったでしょうから、企業にとって就職協定は願ったりかなったりかもしれません。自分はこの協定には関係ないのですが、おかげでリクルーターの人が来ないため企業の内情を知ることができません。

元指導教官と話した結果、今期の就職活動は見送る方針になりました。安売りはするなということですが、そもそも自分では会社にコンタクトを取ることすら許されなかったので売りようもなかったのですが。しかし、今いる会社も資金繰りが苦しく4月以降は厳しいとのこと。もう一回海外ポスドクという話も無きにしも非ずですがそれは同じことを繰り返すだけだと。ということでなんか予想だにしなかったすごい裏技を提示されました。他に選択肢はほぼないので今後はこの方向で動いていくことになります。まあこれも先延ばしでしかないような気がしますがチャンスではあるのでそれをうまく活用していくことになります。しかし、そろそろ自由に羽ばたきたかったのにしばらくはかごの中の鳥です。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-17 22:39 | ポスドク問題

アセニト危機

現在世界的にアセトニトリルの不足が懸念されています。アセトニトリルというのは化学式はCH3CNであらわされる極シンプルな分子で汎用溶媒として使われています。特に水と自由に混和する性質から液体クロマトグラフィーの溶媒としての需要が最も大きいのではないかと考えられます。うちの会社でもLC-MS用の溶媒として使っています。LCを持っている会社、研究室であればどこでも使う溶媒だと思います。

これがなぜ現在不足しているかというと、この物質はアクリロニトリルというアクリル繊維の原料を作るときの副生成物として得られるもので、その物だけを作っているということはないようです。そのため中国のアクリロニトリルのプラントがオリンピックのために閉鎖し、アメリカの工場がハリケーンによる被害を受け、その上さらに金融危機による不況でアクリロニトリルの需要が減ってきたことによる減産が重なり安定供給が懸念される事態にまで陥ってきたようです。

グローバルな試薬会社であるSigma-Aldrich社ではこの品薄状態は来年の前半まで続きそうだと予測しています。そのためお得意様にはおろせるけど、一見さんはお断り状態になりそうだということです。

うちの会社でもそんなに大量には使ってはいないけどないと困るのでちょっと多めに注文しようということになりました。そこで早速試薬の納品をしてもらっている会社に注文してみるとそんなに多くは売れないということでした。もうすでに買占めに走ったところがあるようで在庫の減りが著しいのだそうです。もうこれは取り付け騒ぎ状態になってきたのかもしれません。生産がストップしているわけではないでしょうから完全になくなるということはないはずなのですが、この状態ですと早晩まったく買えないという自体も起こりえます。みんながアセトニトリルの使用を節約し、大量に買わないというようにすればおそらく乗り切れると思うのですが、そうは行かないのが人の性。囚人のジレンマといった状況でしょうか。卸売りの元の段階で規制が入らないとすぐに在庫切れになりそうな気がします。研究者は金融危機だけでなくアセニト危機も乗り越えないといけないのです。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-11 23:42 | 化学

明日は京都です

明日は京都に出張。昼から夕方まで会議で、その後飲んで帰ってきて、次の日はもちろん通常通りの業務ということでかなり強硬日程です。今日は明日のプレゼンの準備をメインにしていつもよりは早めに帰宅。同僚の人と一緒に帰ったけど、いつもこのぐらいならいいのにとのこと。だったら帰りましょうよ、たった4人しかいない職場なんだから。

明日は朝はいつもより少しゆっくり。その代わり電車はいつもより混んでいそう。ちょうど高校のときに乗っていた電車と同じです。新幹線は自由席だけど東京駅からなら始発だし大丈夫かな。関西まで早くいけるようになったので出張も当然のように日帰りオンリーというのはつらいですね。技術の進歩の弊害か。というかそもそも京都に行く意味が本当にあるのかちょっと疑問です。まあどんな人がやっているのかという顔合わせと、実際にあって話して疑問に思っているところを明確にするというのは大事ですが、毎回全員で行く必要があるのかなとは思います。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-08 22:24 | 日常

クリスマスビール

クリスマスの時期になるとヨーロッパでは特別に醸造されたクリスマスビールが発売されます。Carlsbergでも何種類か出していましたし、デンマーク国内の醸造所も独自のレシピで特別なビールを売り出していました。しかし、日本ではそんな文化はない。というか日本のビールはやはりあまり好きじゃないということで、ベルギービールを輸入販売しているところにクリスマスビールのセットを注文しました。

平日はほとんど飲む余裕がないので週末だけですがちびちびと飲んでいます。今日飲んだのはアルコール度数12%のビール。ビールというよりはバーレイワイン。蒸留する前の麦焼酎の原酒のようなものかな、飲んだことないけど。かなりしっかりしてコクがあるなかにほんのり甘い感じがして味わい深い。これに比べると日本のビールは麦茶のような感じです。ギネスとか日本でも手に入るエールタイプのものと比べたら日本のビールは薄いけど、さらにその差がはっきりするでしょう。

それにしても何で日本のビールはどれも似たり寄ったり、のど越しばかりであまり味のないものばかりなんだろうか。みんな本当にそれでいいと思っているの?ビールの世界でも横並びがすきなのか?ビールは「とりあえずビール」でたのむ水代わりに飲むだけのもの、もしくは安く酔っ払う、飲む量を競うものとしか思っていないんじゃないか。たまにちょっと違うタイプのを出しているところもあるけどまだまだヨーロッパのビールの深さにはかなわない。ビールでも大胆に世界に対して挑んでいくようなところが出てくればいいのに。最近は発泡酒でもなく、第三のビールという風にだんだんビールから離れていく方向に進化していく日本では無理なのだろうか。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-07 22:10 | 今日のビール

本年は喪中です。

本年は喪中につき年頭のご挨拶はご遠慮させていただきます。まあそもそも余り年賀状を出さないのですが。特にこのブログを見てくれる人にはこの場での挨拶で代えさせてもらおうと思います。ブログもあるし、mixiもあるしで友人の多くは近況をお互いに知っていることが多いですからわざわざ改まって年賀状を書く必要もないのではと思います。とはいってもやはり手紙でくるとちょっと味わいが違うものもありますが。でも一番は直接会うことでしょうから、年末年始時間のある人とはできるだけ会うようにしたいと思っています。

喪中であっても関係なく送るのがクリスマスカード。まあ自分はクリスチャンではないですし、送る相手もクリスチャンとは限らないのでSeasons greetingとして送ります。送る相手はデンマークの研究所、ボス、同僚、その他お世話になった方々。あとは一時期お世話になったイギリスの先生にも今後の移住の布石としてまた送っておきますかな。それとCroatiaの彼女にも037.gif

せっかく日本から送るので和テイストなものをということで何種類か買ってきました。もちろんメッセージカードを手書きで入れておいて、さらに和紙で作った折り紙なんかを入れて送ると喜ばれます。写真も入れておいたほうがいいかな。

クリスマス前に届くように、特にヨーロッパは休暇が長いですからそれまでに届くようにするには今週中に送らないとまずいだろうなということで、これから文面を考えます。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-07 21:48 | 日常

納品と会議の1週間

今週はかなり忙しかった。火曜に提携企業で活性試験をしてくれるところへサンプル送付。そのためのサンプル合成で月曜はフル稼働。何とか火曜の午前中に精製まで終えて、いくつか発送。数は予定より少なくなったけど、自分で出すのは初めてだし、出すといっておいたので出しておくことが大事。今回はin vitro試験用なので少量でOK。でも来週の月曜発送でin vino用のサンプルを大量に合成してくれというのを先週の金曜に言われたので、サンプル送付後はそちらの合成に追われました。しかも原料はぎりぎり足りるかどうかという量で、スキームは通っているけど自分ではやったことのない反応。前から出さなければいけないとわかっていたんだったらもっと早く言ってくれ。

ということで今週は締め切りまでに合成、精製も完了してサンプルを出さないといけないので実験を毎日10時間以上、ちょっと息抜く暇もほとんどなくやっていたのですが、こんなときに限って長時間の会議が入っていたりします。木曜日は定例の営業、技術会議。自分は今回が初めてなのでどんな様子かわからなかったのですが、まあ内容は大事だし、自分としても興味深かったのですが、いかんせん長い。営業会議は2時スタートだけどその前に1時からプロジェクトのメンバーで報告会、営業会議は2時間続き、すぐに技術会議(分ける意味があるのかは不明)で終わったのはもう7時近く。小さな組織なのに何でこんなに時間がかかるんだろうか。お偉いさん方はたまにしか来ないのでこういうときにいろいろ聞いたりしてくるのでそれで時間が延々と引き延ばされてしまうのでしょう。

サンプルのほうは水曜に少量で合成してみて感触はつかんでいましたが、木曜が完全につぶれたので月曜発送のためには今日中に完成させねばなりません。反応自体は混ぜていくだけ(たいていの化学反応はそうですが)ですが待ち時間が長いので反応終了は夕方。そこから精製がショートカラムを通してからさらにカラムして再結晶と結構時間がかかります。でも何とか帰る前に終わり指定の量も純度もばっちり。月曜に余裕で発送できます。

しかし、一緒に合成している研究員の人と話していて気づいてしまったのです。これは月曜に発送しても意味ないのではないかと。月曜に送れば到着は火曜日です。しかし火曜は先方の会社と京都で合同の会議をすることになっています。つまり火曜にサンプルが届いたところで実験はしないし、会議に出ていれば直接受け取ることもないのです。おそらく会議の時にはすでに送って到着しているはずですよと上司が先方にアピールしたいためなのでしょう。でもいままでいろいろサンプルを送ってきたのでいまさらそんなところでアピールする必要性もありません。とりあえずもっと早く言えということです。ほう・れん・そうが大事といわれますが、下から上だけでなく、上から下へもちゃんと情報、考えを伝えていかないと組織が迷走するだけだと思います。

まあサンプルは問題なく出せそうなので週末はゆっくり休めます。来週は会議のため京都まで行きます(日帰り)。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-12-05 23:52 | 日常