デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
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春夏冬中

今日は非常に寒い一日でした。昼でも10度前後で雨まで降っています。まだつい最近まで暑かったという記憶が残っていますが、もう最近は冬が近いという感じがします。どうやら今年は秋はほとんど無いようです。冬は平年より寒い予想が出されているのでメリハリが利いているというか。夏は台湾に行くとすごしやすいと思うほどの酷暑で、冬になるとすごく寒いとなると今年は快適に過ごせる時期が極端に短いのではないかと感じます。春も4月中旬でも雪が降るほどであまりいい時期は長くなかったし、ゴールデンウィークはちょっと暑いぐらいだったし。とはいってもやはり夏が暑すぎてバテ気味だったので涼しくなった今は結構体調もいい気がします。やはり自分には20度よりちょっと低いぐらいがちょうどいいようです。

そんな冬も目前と感じさせる中、週末には台風が本州へ上陸する恐れが高まっています。奄美大島はもっと大変だろうけど。ずいぶんと季節はずれな気がします。その影響か明日も雨の予報。明日はスーツで品川に出かけなければならないので雨だと億劫です。
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by Y-Iijima_PhD | 2010-10-28 23:18 | 日常

エクスペンダブルズ

映画エクスペンダブルズを見てきました。宣伝どおり豪華キャストで豪快なアクション映画でした。ストーリーはこの手のアクション映画にありがちな感じでどこかで見たような。ランボーとかコマンドーとかその辺のをミックスしたような感じです。ただ基本は傭兵の荒くれものなので勧善懲悪のハッピーエンドとも違います。

一番話題となったのはシルベスター・スタローン、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツネッガーの夢の競演ですが、実際に後の2人が出てくるのは3人がそろうワンシーンだけです。確かにこの3人が同時にアクションをやるというのは見てみたい気もするけど、船頭多くしてという感じでストーリーの筋が通りにくくなるかもしれません。でもほんの少しといってもなかなかジョークの効いた面白いシーンでした。現実に絡めているんだろうけど、デモリションマンのワンシーンを思い出しました。

アクション映画の王道といったつくりなので安心してみていられるというか、まあそうくるよなという予定調和的な感じで、ストーリー云々よりとにかくアクションで魅せることだけにこだわった映画です。画面がめまぐるしく変わるので少し見難い場面もあるし、結構人が吹き飛ぶシーンが多くちょっとグロかったり、結構な年のおじさんたちが主役でかなり男臭い映画ですがスカッとする感じはあります。それにしても皆さん年をとったんだなあと感じます。しかし、まだまだ現役バリバリといった感じで、こういう人たちなら尊敬できるよなと思いました。
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by Y-Iijima_PhD | 2010-10-24 22:08 | 日常

ノーベル化学賞

本日発表されたノーベル化学賞で日本人の先生が2人受賞されました。大変喜ばしいことですが、同時にうちの研究室としては残念な気持ちもあります。今回受賞された分野はパラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応に関するもので、うちの先々代の教授である辻二郎先生も候補に挙がっていました。研究室だけでなく大学も受賞した場合に備えていろいろと準備していましたが、残念ながら受賞とはなりませんでした。さらにこれだけ近い分野での受賞ということですからおそらくもう候補に挙がることも無いのではないかと考えられます。とにかく日本人の研究者が数多くかかわっている分野で似たような反応に日本人の名前がついているものが数多くあります。確かに今回受賞された3人はもちろん有名で、反応も研究室でもよく使われるものですが、他の人たち、反応も同じぐらい重要であることに変わりはありません。日本のメディアだとノーベル賞をとったら急に祭り上げるし、日本人がとったとき、日本人だけしかまともに報道しませんがノーベル賞をとったからエライのではなく、エライからノーベル賞をとったのであって、他にもエライ人は沢山いるということです。

毎年ノーベル賞の発表はホームページで見ていますが、最近のネット技術の進歩から今年はライブストリーミングが見られるようになっていたのでずっと見ていました。1人目のHeck先生の名前が出てきたとき、今年の受賞はパラジウムに関する反応だということでにわかに期待が高まりましたが、2人目に根岸先生が選ばれたとき、これはちょっと無理かなと思い、3人目の鈴木先生が出てきたときはやっぱりそうかということで辻先生はもう選ばれることはないという落胆が正直研究室には広がりました。先月講演に来ていただいて、夕飯もご一緒させていただいたので。他の研究室でも同じような気持ちになったところは多いのではないでしょうか。それほどとにかく候補となる人は沢山いる分野なのです。まあでも鈴木先生は大本命でこの分野であれば絶対受賞するだろうと思っていました。他に誰が来るかが難しいところで、正直根岸先生はちょっと予想外な感じがしました。

今回の受賞内容について詳しいことは専門のサイトに譲るとして、個人的に分析してみると、反応としては3人の開発した反応はどれも同じタイプのものです。全てパラジウムを触媒として塩素、臭素、ヨウ素といったハロゲン元素のついた炭素と何か金属のついた炭素の結合を作るというものです(図を書くソフトが入っていないのでわかりずらい)。NHKのニュースで柴崎先生が解説していましたが、そういった反応が開発されるまではマイナスの炭素同士をつなげなければいけないので、そんなことはできないと考えられていたのがパラジウムを使うことで可能となりました。それで3人の開発した反応を見てみると片方をハロゲン元素のついたものを使うことは共通で、Heck反応は金属ではなく水素の部分で結合を作るので反応の仕組みは少し違うのですが、原料と結果としてできるものは同じパターンです。根岸カップリングの場合は金属として亜鉛を使い、鈴木カップリングの場合はホウ素を結合相手の金属として使っています。他にもケイ素を使ったり、マグネシウムでもできるし、スズも有名でいろいろなパターンが開発されています。そんな中でなぜこの3人が選ばれたかというと、おそらくこの3つが工業的にもよく使われるものであるからではないかと思います。反応性で選べばスズを使ったものが信頼性が高く、研究室ではよく使われます。しかし、スズ化合物は毒性があるのであまり工業スケールでは使いたくないものです。それに比べてHeck反応は触媒としてのパラジウム以外に毒性のある重金属は使わないですし、根岸カップリングの亜鉛も毒性は無く、安価。鈴木カップリングは毒性が低く安全、安価というメリットが大きい反応です。つまるところいかに安く安全で確実なプロセスとして工業利用ができるかというところで評価されたのではないかと思います。そういう点で見ると発表された順番は開発された順番だけでなく、原料の値段の順番にもなっていそうです。

ということでしばらくはノーベル賞フィーバになりそうですが、前回日本人がとったときもそうでしたが今回の受賞は30年以上前の成果に対するものです。今回の受賞がそのまま現在の科学技術レベルをあらわすものではないということは肝に銘じなければなりません。パラジウムのクロスカップリングは絶対対象となるはずだと思われていた本命の分野でした。では次に何が来るか?これから20年、30年後に対象となるものが今の日本で生まれているかというと、まあiPSは実用化段階まで行けばあるかもしれないけど、他に思い当たるものがあまりないような気がするし、環境としてもどうかなと日々思っています。
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by Y-Iijima_PhD | 2010-10-06 22:49 | 化学

2年

早いものでポスドクを終え、デンマークから帰国してからもう2年もたちました。あれ以来ヨーロッパにも行っていないし、気持ちもずいぶんと離れてしまいました。デンマーク語も1年以上全く使っていないし。それでもみっちり習ったから今でも簡単な挨拶ぐらいは話せますが。

最近は特にですが日本に帰ってきて以来更新が滞りがちです。単純に疲れていて、家に帰ってからでは文章を書く余裕が無いというのが大きいですが、それ以外にもいろいろと立場上かけないこともあるし、最近の日本の状況に関してはもうほぼ諦めているのでわざわざ書く気にもなれません。

帰ってきて1年目は2回転職したので状況の変化がいろいろあったけど、この1年は慣れたというのもあってあまり代わり映えがしない1年でした。しかし、どうしても慣れないのが日本のアカデミアの論理。かつては自分もあこがれた世界で、今は実際にその場にいるのですが、ヨーロッパに行き、個人で独立して生きていくべきだという考えに目覚めてからはずっと違和感を感じています。確かに今の立場を守ること、研究室の規模を維持することを考えれば、もっともな方法、考え方であるというのはわかります。しかし、それはすでに自分の価値観から大きくずれるものになっています。

これは長くいてもずっと消えることは無いでしょうし、そんな矛盾を感じながら続けていくのは精神衛生上よくないので、そろそろ次の道を考えていくときです。まあ実際にはじめからそのつもりで、契約上もそうなっているんですが。今年度は予算が通ったこともあってそれなりに結果も出さなければいけないし、後期は学生実験を指導しないといけないので、そこはしっかりやっていきます。一応、うまくいくかどうかはわからないですが、次の候補として考えているところもあるのでこれからアプローチしてみるとします。
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by Y-Iijima_PhD | 2010-10-02 23:56 | 日常