デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
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不要不急

海外のメディアでは日本の災害地での秩序だった行動が賞賛されています。一方でたいした被害のない東京ではスーパーでは買い占めが起こり、停電するかもしれないとなって電車が減っても皆が同じ時間に出勤しようと駅に殺到する有様です。でもこれって多分どちらも根底は同じ、空気を読むというところから来ているんだと思います。被災地では普段窮屈なこの慣習が良いように作用していますが、都市部ではパニックを呼んでいる気がします。原発は心配だけれど放射線のレベルは東京では今のところなんの問題もない状況です。というか何も変化してません。たしかに映像はショッキングだけれども、ここまで実害が及ぶ状況には程遠いと思います。それでも過剰に反応している人が多い気がします。

土曜日は花粉症で必需品のティッシュとトイレットペーパーがちょうど無くなりそうだったので、買いに行ったらほとんど売り切れで、何件かハシゴしてようやく買えました。食料もパンやカップラーメンが売り切れでした。
そして今日になったらもう何もないに近い状況。パン、カップラーメンは言うに及ばずコメも牛乳も卵も売り切れでした。多少物流が滞っているだろうけど、西日本からは来るはずなので買い占める必要なんてないはずです。どうせ停電は1ヶ月ぐらい続くんだろうから冷静に考えて欲しいものです。普通にしていれば売り切れになることなんてないだろうし、たかだか3時間停電になるだけでちょっと我慢すれば普通の家庭ではなんの問題もないはずです。不要不急の買い占めが商品不足を招く負のスパイラルを呼んでいます。

明日は研究室で年度末の最後の飲み会をする予定でしたが中止となりました。停電の時間は避けられたけど、電車の運行状況がわからなくて、帰れなくなる人が出ると困るからです。若干原発の状況が心配だったというのもあります。本当は普通に外食してお金を回すことが今、非被災地では最も重要なことなんだと思います。だから本当はこっちは必要だったものです。

再来週に予定されていた日本化学会の春季年会も中止となりました。会場は神奈川大学で、おそらくかなり不参加となる人が予想されてプログラムがめちゃくちゃになる上、講演中に停電になる可能性が高いからだと思われます。規模の大きな学会だけれどもこれも関係者以外には不要不急かもしれません。

そして最も不要不急と思われるのは予算執行期限がすぎて何も買えないし、停電の影響で実験もできない自分の仕事です。まあ正直実験しなければ大して書きものも多くないので暇です。学会も中止になったので発表練習もなくなったし、事務書類をいくつか出せば今年度の仕事は終わりです。暗くて寒い研究室にこもっていてもustreamで見ているニュースが気になってしょうがないし、人も来ないから出来れば在宅勤務にしたいところですが、そうもいきません。まあ完全フレックスなので理論上はいつきても、いつ帰ってもいいのですが。とりあえず混雑と停電時間を避けて勤務時間を短くしています。1ヶ月ぐらいこんな感じが続くのかなと主ます。
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by Y-Iijima_PhD | 2011-03-15 20:15 | 日本を考える

大地震

今日の地震は自分にとって今までで一番の大きさでした。ちょっと生協で買い物しようとしているところに揺れが始まり、最初は揺れているなぐらいだったのがおさまる気配がなく、強くなってきたところで建物の外に避難しました。もうその頃には外で立っていても揺れているのを感じるぐらいで、停めてあった車も大きく揺れていたし、木々も強風が吹いたかのように揺れていました。未だ電話が通じないので母親以外の家族と連絡が取れていませんが、千葉か東京で海からも遠いのでそれほど問題はないと思います。しかし、親戚はまさに宮城の海沿いに住んでいるので安否が気になります。また、大学時代の恩師も東北大に務めていて連絡が取れません。どうもサーバーが落ちているようでメールも届きませんでした。

家の被害も研究室の被害も少し水がこぼれたぐらいでしたが、今これを書いている最中も断続的に余震が続いていて今夜はゆっくりできそうにないです。食料は昨日偶然大量に買い込んでいて、お金も下ろしていたから週末は大丈夫そうです。

しかし、JRも今日は運転しないことになったし、私鉄もほとんど動かないでしょうからかなり都市機能が麻痺しています。東京は直撃を受けたわけでもないけど震度5強の揺れでこれだけ影響が出るのですから、もし直下型地震が来たらどうしようもないんだろうなと思います。ニュースで津波の映像を見るとものすごいし、大学の屋上からも市原のコンビナート火災の炎が見え、さらに別の方角からも大きな火の玉が上がるのが見えました。

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今日は情報が錯綜し、現地からの情報はあまり入ってこないでしょうが週末にかけて被害状況が明らかになってくると思います。大学は明日後期入試となっていますが、電車が動かなかった場合どうなるのでしょうか。特に東北大は今どうなっているのかすらわかりません。

地震が起きたあとは株価も暴落していました。取引終了間際で金曜だったから今日の分はそれほどではないでしょうが、週明けは大きく落ち込むでしょう。これがきっかけで経済危機というのが今後恐れるべきことかもしれません。とにかく人的被害がなるべく少ないように祈ります。
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by Y-Iijima_PhD | 2011-03-11 20:33 | 日本を考える

Love Chemistry

業界で話題の3月4日に発売された小説「ラブ・ケミストリー」、早速読み終わりました。感想はなかなか面白かった。なんとなく「私」はこの人かなと思っていたのが見事に裏切られ、最後はサプライズと著者が書いてあるとおり予想外の結末でした。

内容も純粋に面白いと言えるものだと思うけど、やはり有機化学の全合成の研究室を舞台にした設定が小説としては新鮮で、自分にとってはまさに日常でこんなことあるあると思う内容が随所に散りばめられていました。化学を知らない一般の人はあまりイメージできない描写もあるように思いますが、合成系の研究室のキタイナイ実験室の様子、深夜まで連日実験に没頭する日常、そしてバリバリの体育会系の雰囲気が漂ってきます。自分も学生の時はそうだったなあと思うことがいろいろあります。今は立場も違うし、プライベートもしっかりある生活をしていますが。まあ周りを見ている感じでは同じだなと思うことは多々あります。

ストーリー的にはどこかで見たり、読んだことがあるようなもので斬新さはありませんが、やはり有機化学との組み合わせというアイディアは新しいものです。普段あまり小説は読みませんが、ホリエモンの「拝金」や「成金」のように現実とリンクしながらスピーディーな展開でサラッと読める娯楽作品だと思います。有機化学者なら楽しめる事請け合いです。もっと一般の人にも状況を思い浮かべられるようにするには挿絵を入れるか、用語の解説を新明解国語辞典のような語り口で載せておくといいのではないかと個人的には思いました。
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by Y-Iijima_PhD | 2011-03-06 00:05 | 化学