デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
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上海視察旅行

4泊5日で中国へととある会社の視察旅行に行ってきました。ただ今回は有給をとって行ったので完全自費です。その分、行動は完全自由です。ハワイの時もそうだったけど、学会なんかにかこつけていくとなんだかんだと面倒なのできっぱりと旅行には自費で行ったほうがいいです。

初日は到着が夜だったのでホテルへ直行でした。10時近くだったので乗ってみたかったリニアは営業終了。タクシーで向かいました。市内までは約30km程で約1時間の道のり。料金は2000円弱でした。タイよりは高いけれど初乗りは12元(約150円)で日本より格段に安いです。

2日目は朝に会社の人にピックアップされ上海の本社へ移動。上海も梅雨前線がかかっているのでこの時期は基本的に雨のようです。時折強く降ったりもしました。朝9時前でちょうどラッシュの時間だから車も大渋滞です。このへんもバンコクと似た感じ。

会社は郊外の学園都市のようなところにあり、周辺にはマイクロソフトやインテル、東レ、花王などのオフィスなり工場もありました。

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そして会社内で主にドクターを持っていて英語が話せる人と色々ディスカッション。その後何故か中国語のみが飛び交う熱い会議に参加させられ、昼食後でわからない言葉を話し続けられるという非常に眠くなる状況をこらえていました。会議が終わると今度は別のところにある支社を見せてくれるということで車で移動になりました。別のところと言っても上海から400km程も離れたところにあるそうです。ちょうどヨーロッパの有名な会社から商談に来ていた人とその案内の人も行くということなので、皆で連れ立って出かけることになりました。

上海からその支社がある江蘇州の濱海という町まで高速道路をひたすら北上していきます。道路は非常によく整備されていてゲートはETCもあるし、日本のものよりきれいな感じでした。しかし、運転するのは皆中国人。素晴らしいドライビングテクニックの洗礼を受けました。もうとにかく飛ばしまくります。雨が降っているにもかかわらず120から140kmで飛ばし、車線変更もひっきりなしにします。これで3時間以上ギュウギュウ詰めの車で行ったのでかなり疲れました。そして着いた町では心のなかでこれぞ中国だと叫んでいました。学校の社会科の授業のイメージだと自転車大国ですが、さすがにこれは昔の話で今は殆どがバイク、スクーターです。しかも排ガス規制のため大部分が電動になっています。このへんは一気に最先端のものを取り入れることができるので変化が早いのだと思います。しかし、その走るさまはイメージそのもの。町中はもう無法地帯といった感じでバイクが縦横無尽に走っています。横に2列、3列に並ぶのは当たり前で、2車線のど真ん中を悠々と走っています。クラクションを鳴らしても一向に道を譲らないし、脇道からは車もバイクもどんどん割り込んでくる。信号でも右折はいつでもOK的な感じ(中国は右側通行)でどんどん車が曲がってくるし、歩行者がいてもお構いなしで優先するなんてことはありません。歩行者もあたりかまわず道を横断する。お陰でひっきりなしにクラクションが成っていてとてもうるさいです。

着いたのは夜の7時ぐらいだったので夕飯になりました。豪華なレストランに連れて行かれ中華料理のフルコースとなりました。しかも町の有力者たちも同席しているという多分に政治的な意味合いもある食事会でした。まあこの辺は大学のほうがあからさまなので特に違和感は感じませんでした。むしろ地元活性化のために企業を誘致したい行政と良い条件でやっていきたい企業の利害が一致しているので、こっちのほうが健全な気がします。さらに強力な焼酎を一人ひとりと乾杯しなければいけないというなかなか厳しいものでした。お陰で後半からホテルまで記憶がありませんが、まあ粗相はしなかったはずです。むしろいい飲みっぷりで信用が高まったような感じでした。しかし、このフルコースがこれから連日昼夜と続くことになったのでそっちの方が辛かったかもしれません。美味しいんだけれど毎日はきついです。

会社見学の方は3日目から。商談に来ていた人がちゃんと取引できる品質のものを作っているかの視察をして回っていたので、一緒に回って設備を見つつその人の評価を聞かせてもらいました。敷地はかなり広くバルク製品からその自社製品を使った商品開発もしているようで、いろいろな設備がありなかなか面白いものでした。視察した人の評価も上々のようで早速小規模からの取引を始めたようです。

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午後はその会社がある新興工業地域の開発責任者に会うこととなりました。元々は農村でGoogle Mapの写真でも畑のままの地域ですが(今も半分以上は空地か建設中だけど)、急速に発展している感じです。日本の有名化学会社も進出を決めているようです。かなり広大な土地でその地域用の発電所もあり、港もあり鉄道もすぐに開通予定で新たな高速道路もできるようなのでまだまだ急速な勢いで開発が進んでいくことでしょう。今はまだ何も無い田舎ではあるけれど1年でも大分変わるだろうし、5カ年計画のようでそれが終わる頃には全く違う街に変わっているんだろうなと思います。日本も昔はこういう時代もあったんだろうな。

自分的にはもう満足で帰りたかったのですが、会社の人達はまだ仕事があるということで一人では帰れないしもう一泊することになりました。この夜も違うメンツでまた飲んで食べてカラオケまで連れて行かれてかなり疲れました。4日目は基本的にやることがなかったのですが結局夜まで仕事があるということで適当に研究所を見て回ったりして時間を潰し、また4時間ぐらいかけて上海に戻ってきました。ホテルに着いたのは夜の11時。雨だったのでホテル周辺をぶらついて腹ごしらえしただけ。結局観光は一切なしで上海はほとんど見て回りませんでした。まあ2日目以降の費用は全部向こう持ちだったので文句は言えないですが。この辺公費で行っていたら面倒なことになったでしょう。

最終日は昼過ぎの飛行機だったので朝食がてら周りをぶらぶらし、11時頃チェックアウトして空港へ向かいました。せっかくだからリニアに乗りたいと思っていましたがいきなりの土砂降り。駅まで行くのも面倒になったので結局タクシーで向かいました。空港近辺ではリニアと並走していたので見ることは出来ましたが、120kmでぶっ飛ばすタクシーの横を一瞬で通り抜けていきました。早すぎて凄さを感じることすらできませんでした。最高時速は430kmで約30kmを7分半で結ぶそうで、乗り継ぎがよければタクシーで1時間近くかかるところを10分そこらで行けてしまうことになります。

しかし、この上海のリニア自分は上海万博の頃まで知りませんでした。開業は2003年だからずい分前です。でも日本ではあまり報道されなかったのでは?何十年も実験をやっている手前、さっさと営業運転を始められてしまって面目丸つぶれな感じだったからでしょうか。最近は東京―名古屋間で営業運転をするとかで議論になっているけどまあ無理なんじゃないのと思ってしまいます。土地の買収費用、建設費も莫大だし、超伝導磁石なんてランニングコストが掛かりすぎて採算性はなさそうだし、そもそも需要はあるのか?できたとしても何十年後で少子高齢化が進み、今回の電力不足が企業の海外脱出を加速させているというのに。大体完成まで日本の財政が持っているとは考えがたい。途中で頓挫するでしょう。それだったら上海のように成田と東京を結ぶ中距離輸送にしたほうがいいんじゃないかと思います。

帰りの飛行機は大分余裕を持って空港に到着して、スムーズに荷物検査まで終えてゆっくりしてから乗ろうと思っていたら、出発延期になり結局予定より3時間半も余分にゆっくりすることに。遅れている理由もはっきりしないので中国人が切れて騒ぎ出しようやくギリギリになって離陸することになりました。最後の最後でもこれが中国かというのを見ることができました。まあギリギリというのは成田側の問題なのですが。成田は夜10時までしか発着できないので上海からは6時までには飛び立たないといけません。離陸したのは6時を過ぎていたので遅れることは許されないような状況でした。なんとか10時前に着陸し、飛行機をでたのは10時丁度でした。他に到着した飛行機は殆ど無いので入国審査はスムーズでしたが、この時間だと終電まで2本程度しかありません。まあ自分は成田にほど近い実家に帰るのでいいのですが東京まで行こうとすると到着から30分程度しか余裕がありません。遠くて交通手段も限られ早く閉まるという上海なんかのハブ空港と比べるとなんとも見劣りする東京の玄関口です。

今回の旅行を通じて中国の広さ、大きさを感じました。上海から濱海までの400km全く山もみえない広大な土地を走り続け、濱海も見渡すかぎり畑という感じで土地が有り余っている感じがしました。そして急激な勢いで成長していくエネルギーを感じました。衰退し続ける日本にいると全く感じられない勢い。その中にはこのまま行けるはずだというバブリーな楽観主義も感じましたがしばらくは続きそうです。そしてはっきりと日本が取り残されているという感じを受けました。
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by Y-Iijima_PhD | 2011-06-19 23:35 | 旅行