デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
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カタカナ英語の弊害

デンマークに来て1年。英語の聞取りには大分慣れたけど、話すのはまだまだ難しいです。買い物とか、挨拶とかは大丈夫だけど、意見を言う時、誰かに説明しないといけない時はなかなか言葉が出てきません。こればかりはすぐには慣れないので普段から英語で物事を考えて自分の意見を持っておくのがいいんだと思います。

英語で話す際、結構邪魔になるのがカタカナ英語、和製英語のたぐいです。和製英語は基本的には通じませんが、非英語圏なので相手が本来の言葉を知らなくて、最もらしい表現だったら意外と通じるかもしれませんが保障はできません。実際に何かを話そうという時に困るのがカタカナ英語です。普段からカタカナで書かれる言葉は外来語がそのまま定着したものですから、基本的にはそのまま話せば通じるはずです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。もちろんそのまま言っても日本語のアクセントでは通じないですし、そもそも英語由来ではないこともありますが、一番困るのはカタカナになることで本来の音の要素が損なわれることです。具体的には日本人にとって最も分かりにくいlとrのどちらだったのかが分からなくなること、他にもbとv、sやzとthの違いがカタカナにすることによって失われてしまいます。だから日本語で知っていていざその言葉をいおうとした時にスペルを知らないと、はて実際にはなんて発音したらいいんだろうと思いそこで止まってしまいます。まあ、適当に言って通じる時もありますが。

日常的に使っている言葉であればスペルも知っているから正確な発音が分かるけど、一番問題となるのは固有名詞です。人名、地名で間違えるとほとんど通じないです。特に今度行くPragueはlとrを間違えると大変です(plague = ペスト)。歴史の話なんかを聞いている時でも名前や出来事を日本語では知っているけど英語では分からないので何もいえずもどかしい時もあります。十字軍、ハンザ同盟、神聖ローマ帝国なんかすぐに英語でいえますか。ちなみに高校で日本史も世界史もやってます。履修不足ではありません。

ということでこのブログでは固有名詞は基本的に本来の表現を損なわないよう現地語か英語で表記しています。コペンハーゲンとデンマークはカタカナで定着していますが、これらはそれほど発音に違いがないし、日本にいる人でコペンハーゲンがデンマーク語でKøbenhavnというのを知っている人はほとんどいないと思うのでそのままにしてます。

あと実際には日常使う言葉でこっちに来て初めて知ったのはもっとずっと多いです。特に政治、経済用語は日本の英語の授業ではほとんど習わないけど、テレビでも日常の話題でもよく出てくるので知っておくべきだと思いましす。Pensionが年金だということも税金の手続きをして初めて知ったし。ちなみに去年は日本のpensionはもうダメですよ、どうしようもないですよと言うことを同僚に何度か説明しました。

あとは国会のParliament(発音注意)もよく出てきます。日本の国会はDietというらしいですが、誰も知らないと思うので専門の人以外には全部Parliamentでいいでしょう。BBCを見ていると名前の後ろにMPとついていることがありますが、国会議員(Member of Parliament)の意味でニュースを見るには結構重要な言葉だと思います。

日本の英語の授業も中途半端な文学やエッセイばかりでなく、英字新聞や英語ニュース、世界史を教材としてとりあげればほかの授業ともシンクロして理解も深まるし、もっと使える英語が身につくんじゃないかと思います。あとはある程度のレベルになったら質問とか授業中に使う言葉をほとんど英語にすればしゃべりも大分よくなるんじゃないかと思います(デンマーク語の授業もこんな感じ)。まあ、でも日本には正しい発音でまともに英語が話せる教師が少ないし、受験で求められるスキルじゃないからなかなか難しいでしょうが。

それにそもそもたいていの日本人には英語は必要ないと思うし。海外で生活したり外国企業相手に取引したりする仕事でもなければ、日本にいて英語を使う機会なんて交通事故に合うより低そうな気がします。海外旅行で話せたらいいな程度では絶対上達しないし、必要でもないです。日本語とは全く違う、日本人には取っ付きにくい言語ですが文法的には印欧語より日本語などのアジア系の言葉に近く、共有する単語も少ないFinlandやEstoniaの人は英語を流暢に話します。これは必要性と教育の差によるんだと思います。残念ながら日本にはそのどちらもかけているのでほとんどの人が英語を話せないんだと思います。でも逆にいえば必要に迫られてちゃんとした教育(訓練)を受ければ日本人でも彼らと同じぐらいにはなれるんだと信じて頑張ることにします。
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by Y-Iijima_PhD | 2008-04-24 01:51 | 英語

共通語としての英語

mixiニュースにものってたけど

English will turn into Panglish in 100 years

English as it is spoken today will have disappeared in 100 years and could be replaced by a global language called Panglish, researchers claim.


だそうです。おそらくこれは英語が昔のラテン語のような存在になるということを意味しているのではないでしょうか。昔のヨーロッパでは主に学者同士の共通言語としてラテン語が使われていましたが、それはすでに一般的には使われなくなった言葉、新たな言葉や表現が生み出されることもなく言語としては死んでいるといえます。しかし、ノンネイティブ同士が自分の母国語でない共通言語を使ってコミュニケーションを図る際にはこういう死んだ言葉の方が便利かもしれません。生きている言葉は時代によってその意味が変化してきます。最近の日本語の「何気なく」が「何気に」になったり、ヤバイが素晴らしいという意味でとられるようになったり、役不足が謙遜の意味でとられるようになってきたりという風に意味が逆転することも珍しくありません。これはその言語が生きていることの証ではありますが、ノンネイティブ同士の共通言語としてこのように意味の変化の激しい言語は適しているとはいえません。共通言語としては化学者にとっての化学式、数学者、物理学者にとっての数式、分子生物学者にとってのDNA塩基配列やアミノ酸配列のように一義的に意味が決まっていて誤解を生まないものであることが望ましいと考えられます。このような理念で生まれたのがエスペラント語などの人工言語ですが、何が世界標準となるかはその言葉を話す人口による数の論理とその言語を母国語とする国の国力によるので人工言語が世界標準になることはおそらくないと思われます。

もちろん英語は生きた言語ですから新しい語、表現が日々生まれています。しかし、英語を共通言語として使うノンネイティブにとっては新しい流行の表現、しゃれた表現は必ずしも必要ではありません。例えば日本の英語番組とかネットでこれがアメリカで流行っているクールな表現だといって、それを覚えてもノンネイティブの人にはおそらく通じないでしょう。海外で暮らしている日本人に日本で流行っているものや流行語を話してもわからないのと似たようなものかもしれません。デンマークでは英語はほとんど問題なく通じますが、デンマーク人が常に新しい英語の表現を仕入れているとは考えにくいです。おそらく大抵は学校でしっかり話せるようになるまで訓練を受け、基本的にそこまでで得た表現、単語力でずっとやっていくんだと思います。だから英語が世界共通語となっていくとアメリカ、イギリス、オーストラリアで英語も少し違うように多少の地域差はあると思いますが、変化のない死んだ言語となっていくのではないかと思います。

非英語圏で英語を使う際にはさらに気をつけないといけないことがあります。英語がほとんど話せないうちは単語だけで答えたりしかできないので、思うことが伝えられなくてもどかしいものの仕方ないし、それでも何とかなります。でもある程度長い文を作って話すようになるとブロークンな英語ではなかなか通じません。ネイティブだったら意図を汲んでくれるでしょうが、ノンネイティブは完璧な英語しか知らないので少し崩れると誤解を招いたり、全く理解されなかったりということが間々あります。共通語として英語を使う場合は誰でもわかる平易な表現で、文法的に大きな間違いなく話すことが重要となります。自分もまだまだ全然このレベルには達していないですけど。だからノンネイティブにHa?とかSorry?とかI don't understand. といわれてもそれはただ単にうまく伝わらなかっただけで、けっしてこっちの言っていることに興味がないとかそういうことじゃないんだと思っています。以上が非英語圏で英語を主なコミュニケーション手段として1年間暮らしてきた人間の思うことです。

しかし、英語は難しいですね。その理由の一つに正書法がしっかりしていないということもあると思います。もう慣れてきたとはいえスペルと発音が一致しない点が新しい単語を覚える際、文章を読む際にストレスになります。デンマーク語も負けてないですけどね。デンマーク語の場合スペルより実際の発音が大分簡単になっていることが多いです。例えばI'm going to Tokyo. に相当する表現はJeg skal til Tokyo. ですが、発音を無理やりカタカナで表すとヤ スカ テ トーキョーになります。Good morningもGod morgenでゴモーンだし。文法も英語よりさらに簡略化された感じで楽な部分もあるけど、発音、聞き取りの難しさがそれを補って余りある気がします。そして日本語も正書法がしっかりしていない言語の一つですね。どうしてこうもとっつきにくい言葉ばかり学んでいるんだろうと思いますが、そこが言葉を学ぶ面白さでもあります。
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by Y-Iijima_PhD | 2008-04-01 07:49 | 世界のニュース