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デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
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To pay, or not to pay, that is the question.

昨日はデンマーク在住うん十年という方のお家で日本人だらけのパーティーに招待していただきました。パーティーに招待していただくのはこれで3回目ですが、毎回新しい人と知り合えるし、年代、職業、デンマーク歴もさまざまな人たちと話をすることができるのでとても勉強になるし、いい刺激になります。

その中で少し話題になった日本の年金問題について思うところをかきます。最近この手の話題についてはあまり書いていませんでしたが、それはほとんどよくなる兆しが見えず(悪くなる要素はいくらでもある)、ほとんど絶望を通り越してあきらめ状態にあるのと、デンマークで暮らしている限りは関係ないので飽きてきたからという理由からです。

年金問題についてはいつも日本のニュースを見ているわけではないので今現在どの程度話題になっているのかよくわかりませんが、ほとんどは宙に浮いた年金記録とか腐りきった社会保険庁の実態に関するものだと思います。これはもちろん大きな問題ですが、これらについての報道ばかりがなされることでもっと根本的なシステムの問題を覆い隠そうとしているのではないかと感じます。

年金問題の本質はそのシステムが現在では完全なねずみ講になっていることだと思います。はっきり言って国家的な詐欺とも言える状況ではないでしょうか。年金記録が残っていないとか、社会保険庁の職員が横領したとかはもちろん犯罪行為で、そんな連中を新たな機構に再雇用するなんて当然許されることではないので、それらは断罪されるべきだと思います。しかし、現在の現役世代にとっては記録が完全に残っていて、満額納めたとしても大体は収支がマイナスになるというシステムの方がはるかに大問題です。まるで政府に上納金を納めているかのような感じです。

自分は日本にいたときも現在も納めているのは基礎年金だけなので厚生年金やその他の年金については知りませんが、基礎年金は40年納めて満額給付で6万円ちょっと。これは都市部での生活保護費を下回っているようです。しかし、支給額はここ数年減り続け、逆に掛け金は増え続ける。しかも25年納めないと給付すらされない。払った年金は政治家、役人によって無駄な箱物に化けたり、懐に入ったりと全く信用性がないのに加入は義務で支給額にも魅力がないとはどうしようもない制度です。

デンマークではちゃんと確認はしてませんが、基本的に積立方式で給付までの納付期間は特にないはずです。日本が同じような制度に移行するのは人口バランス、経済規模などから言って難しいでしょうが、安心なはずの公的年金が信用できず、ハイリスクであるなんて存在意義がないといって良いかもしれません。それでも全く改善する兆しが見えないのはそれだけ役人にとってはおいしい、手放したくない利権なんだろうと思えます。

こんな年金に金を払い続けるなら同じ額を貯金し続けた方が目減りしない分ましだと思います。ただ、それだとそのお金はほとんど死んだようなものなので、どうせなら投資に回すのも手かもしれません。といっても自分はどこかのお偉いさんが毛嫌いするデイトレーダーになる気はありません。それはほとんどギャンブルだし、そんな時間もないので。基本的には長期保有で考えています。そうすれば配当もあるかもしれないし、安定した企業であれば多少の浮き沈みもあまり気にならないでしょうし。貯金よりはリスクがあるけど得する可能性もある、多少値下がりしたとしても紙くずにならなければ、25年以上払わなければ無駄になるうえ、確実にマイナスになる年金よりはましな気がします。

海外在住者にとって年金加入は義務ではないので今年1年どうするか考えてみます。パーマネントなコントラクトが得られれば即やめるかもしれませんが。年金以外にも日本政府は信用できないことだらけだし、社会システムにしても自分に住みやすい状況だとは思えません。海外にいることでいわれのない差別もあるでしょうが、それも日本で博士持ちということでうけるものよりたいしたことがないかもしれませんし(まだどちらも直接感じたことはないですが)。

まあ、でも自分は年金に頼る生活なんてしたいとは思いませんが。理想は早いうちにがっぽり稼いで、元気なうちに早期リタイヤして悠々自適な暮らしをしながら趣味で研究をするという昔の科学者のような生活です。そういう夢を捨てずにいきたいです。
by Y-Iijima_PhD | 2008-04-21 00:02 | 日本を考える