デンマークでポスドク、大学発ベンチャーで研究員をした後、ひょんなことから大学の助教となった一博士号取得者が日々感じたこと、たまにサイエンス(主に化学)についてつづります。


by Y-Iijima_PhD
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

<   2008年 03月 ( 25 )   > この月の画像一覧

爆発しないんですか?

明日から1週間クロアチアに行きますが、PCは持っていかないので更新は帰ってきてからになります。ということで今日はここぞとばかりに連続投稿。

またしても化学シリーズ。例によってこちらも大して読んでいませんが細かい内容よりも見た目に驚きというか不思議だったのでコメントをば。

今度はJ. Med. Chem.のASAPから。何が不思議かというとこの化合物が安定だということです。

b0121425_4424311.jpg


有機化学を知らない人には何のことやらさっぱりでしょうが、基本的に酸素が連続してつながった化合物(図中のO-O部分)は不安定で、大抵は爆発性があるというのが有機化学者の認識です。この化合物に関しては右側が実際にはむちゃくちゃでかいので、おそらくO-O部分は埋もれている状態に近いでしょうから安定だというのは理解できなくもないですが、にわかには信じがたいです。

b0121425_4473929.jpg


上の図の4番の化合物は一般名称オゾニドという化合物で、オゾン分解反応で生じますがこれは爆発性があるということで有機化学者には恐れられています。オゾン分解は基本的にドライアイスで冷やした-78℃で行い、オゾニドを完全に分解するまで室温に戻してはいけないというのが実験の鉄則というぐらい気をつけています。しかし、それよりも酸素が一個多い5番は安定だと書いてあります。ただ本文中では比較的安定と断言はしていません。おそらく低分子量であればこちらも十分危険物だと思います。というか普通の有機化合物より絶対よく燃えるはずですから消防法上は確実に危険物に分類されるでしょう。何しろロンドンの爆弾テロに使われた過酸化アセトンと同じ構造を持つ物質ですから。

何でこんなものが薬学誌J. Med. Chem.に載っているかというとこれがマラリアに効くかららしいです。人間にも炎症ぐらい起こしそうな気もするけどある程度でかけりゃいいということでしょうか。

そしてこの安定性を表す論文が同じくASAPにのっていました。

b0121425_4585926.jpg


有機化学を知らないと全くわからないでしょうが、2から8の反応(e)と9から10の(g)に注目です。なんとLAH還元をしています。この条件でもO-O結合が切れないというのが驚きです。

ただこれがいくら効き目がよくて、安定だといわれてもこんなものを大量に作る気にはなれないというのがまともな有機化学者ではないかと思います。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-19 05:08 | 化学

Full Methyl Jacket?

Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 2595 –2599から、目に留まったアブストラクトFull Methyl Jacket?について。基本的に書評、レビューの類ではないので内容が面白いかどうかは知りません、というかちゃんと読んでません。ただ関連して思うことを書きます。

内容は経口投与ではbioavailabilityの低いペプチド系の薬物をN-メチル化することによって、bioavailabilityを高めるというもの。bioavailabilityというのは薬剤学において、服用した薬物が全身循環に到達する割合を示したもの。静脈注射では100%、経口投与では消化管からの吸収率、全身に循環するまでに代謝、分解されるので一般的にbioavailabilityは低下します。

インフルエンザの特効薬として始めに開発されたザナミビル(リレンザ)はタミフルとほぼ同じ効果を持っていますが、経口投与でのbioavailabilityが2%程度しかないため、特殊な吸入器で投与されています。その後経口投与で十分な効果を発揮するタミフルが開発されたため完全にシェアを奪われる形となりました。

最近では患者のQOLの向上を図る医療が求められているため、注射や点滴のような侵襲的なものより、経口投与できる薬の開発が求められています。特にbioavailabilityが高く、効果が持続するような薬物だと1日1回の投与で十分効果が持続するなど患者の負担も少ないし、飲み忘れる可能性も低くなります。

今回の論文で取り上げられているペプチドはbioavailabilityが低いものの代表といえるかもしれません。基本的に水にも有機溶媒にも溶けにくいものが多いですし、アミノ酸がつながったものなので体内で酵素により分解されやすいという点もあります。ペプチドの溶けにくさは主にアミド結合同士の水素結合によるものなのでN上の水素をメチル基に換えてやることで物理的性質を改善できるだろうというのがこの論文のコンセプトです。

N-メチル化することで溶解性は上がるでしょうが、コンフォメーションが変わる可能性が高いためそのままの活性を維持できるとは限りません。それにものによっては水素結合が活性に重要だったりするのでいつでも通用する方法ではありませんが、簡単に合成できるものであれば、ちょっと手を加えるだけで性質を一気に変えることができるという点ではいいかもしれません。

最近はドラッグデリバリーシステムといって薬物を特定の場所に運ぶ方法がよく研究されていますが、今回の論文に載っている方法も活性はよかったけど物性がいまいちでボツになった薬物の敗者復活に使えるんじゃないかと思います。合成化学者としては全く新しい薬の開発に目が行きがちですが、製薬企業としては新たに0からスタートするよりははるかにコストを削減できるでしょうし、ボツになった薬のコストも回収できるので一石二鳥かもしれません。

ただ一つ、いくら重要な技術だからといってこの分野だけの専門家になるのはよくないと思います。基本的にこの分野にかかわる人は生物か化学どちらかのしっかりしたバックグラウンドを持つべきでしょう。さもないとどっちも中途半端で、何かを調べたいけど思うようなものを作れない、うまい分析方法を開発できないといったことになる可能性があります。これは近年ブームになっているケミカルバイオロジーという分野にもいえることです。異なる分野の融合領域ではどれか1つの分野のスペシャリストでありかつ、異なる分野にも興味を持ち、内容を理解できるというのが求められる資質だと思います。

で、何でこの論文を取り上げたかというとペプチドの全てのアミド結合をN-メチル化をすることをFull Methyl Jacketと見出しを出して、実際にそれがFull Metal Jacketの弾丸のように貫通性を高めているのでうまいこというなと思ったから、ただそんな単純な理由です。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-19 04:29 | 化学

就労許可

今朝、移民局へ就労許可の更新に行ってきました。先月会社に契約を9月末まで更新してもらったので、3月末で切れる就労許可の更新申請を2月末にしておきました。許可が降りたとの手紙は先週受け取っていたので、2週間そこらで降りたことになります。こちらに来る時には3ヶ月半も待たされたのとはえらい違いです。まあ今回は今のを延長するだけだから大して問題なかったんだろうと思います。

移民局は相変わらず込んでいて30分待ちでした。でも受け取りだけの人は別の窓口へ直接行くようにとの案内があったので、そちらへ出向いてパスポート、写真、受け取った手紙を渡しました。途中で手紙に書いてある内容が間違いだったとかなんか向う側の手違いがあったようですが、無事パスポートに就労許可のシールを張り付けてもらい更新完了。結局こちらも30分ほどかかりました。

これで9月末までは滞在できます。あと何回この更新作業をしなければいけないのか、できるのかはまだ分かりませんが、もうしなくても良いというぐらいまでいられたら良いかなとも思っています。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-18 19:38 | 日常

入試問題

日本では受験シーズンもそろそろ終わったころでしょうか。Yahooに今年の入試問題が出ていたのでチラッと見てみました。

母校の入試問題は英語数学化学が解答つきで公開されています。

英語はおそらく今やっても解けるでしょう。というか今の方ができないとまずいですが。

化学は基本的に選択式なのですが、正解が1つか2つあるといういやらしいつくりは相変わらずです。内容は大して難しくはないですが、多少は忘れていることがあります。考えればだいたいわかると思いますがそこまでやる気がないのでパス。今となっては当たり前のことか、専門じゃないので全く使わない内容かどちらかです。化学を専門としない人にとっては大して意味のないクイズみたいなものですね。受験生にとっては死活問題でしょうが。

数学はもう完全に忘れています。解答を見ればなんとなく納得できる問題もありますが、基本的なことから大分忘れています。しかし、それ以上に試験時間150分がもう耐えられそうにありません。たまには頭の体操で数学の問題を解きたいと思うことがあるので手ごろな問題集でもないかと探していますが、残念ながらデンマークにはたいした本屋がないので専門書はなかなか手に入りません。


他の大学は早稲田しか受けていないですが、こちらは解答だけしか見ることができません。まあ過去問も2,3年分しかといていなかったはずなので見たところで何も思い出さないかもしれませんが。

あまりカリカリ受験勉強した覚えはないですが、専門以外は全く役に立っていないというのがよくわかります。一般の人にとってはもっとでしょうが。忍耐力と集中力ぐらいは測ることができるかもしれませんが、不毛ですな。でもこれでその先の人生がほとんど決まってしまうということを考えると、日本は本当に変な国だと思います。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-18 09:09 | 日常

食べられません

今月の初めあたりからスーパーなんかで水仙が売られています。こちらではPåskeliljeと呼ばれているようです。ちょうどPåske(イースター)のころにユリっぽい?花を咲かせるからでしょう。球根から鉢植え、切花としていろいろな種類の水仙が売られています。しかし、この切花タイプには要注意です。

スーパーによっては切花が野菜コーナーに並べられていたりします。葉物野菜とは別になっているけど、いかにも食べられそうな感じにおいてあります。だいたいはつぼみもまだしっかり閉じた状態なので見た目もニラなんかによく似ています。しかし、きれいな薔薇には棘があるように、可憐な水仙には猛毒があるというのはどのくらい知られているのでしょうか。

水仙はヒガンバナ科の植物ですが、この科に属する植物はほぼ例外なく有毒なアルカロイドを含んでいます。間違って食べてしまっても致死量まで食べることはあまりないと思うので腹痛ぐらいで済むでしょうが、ひどい目に会うはずです。

デンマーク人にとっては食べるものではないというのは長年の伝統でわかっているかもしれませんが、言葉もわからない移民なんかだと事故が起きたりしないのかなと思ったりします。まあ、たいていの人は自分の食べなれたものしか食べないだろうからいいのかもしれませんが。でも、万が一もあるでしょうから食べ物と一緒に置くのはやめたほうがいいでしょうな。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-18 07:15 | 日常

Winter came back.

昨日とは打って変わり今日は寒いです。朝は晴れていたのに今の天気は雪。最高気温2度。風速15mオーバー。そんなに降ってはいないけど時折吹雪のようになります。天気予報では今日1日中こんな感じらしい。

それにくらべてクロアチアは内陸にある首都Zagrebでさえ16度。アドリア海沿いはもっと暖かいみたいだし、天気もいいらしい。早く抜け出したい。あと二日の辛抱。そろそろガイドブック読まないと。


追記:夜に語学学校に行くころには完全に吹雪でした。道路にも雪が積もっているし、風が強くて前に進めないしでかなり大変でした。おそらくこの冬一番の大雪でしょう。とはいってもそれほど積もっていないし、道路の雪はもうほとんど残っていないですが。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-17 20:22 | 日常
この週末BBC、CNNを初めデンマークの国内ニュースTV2でも頻繁に報道されている気になるニュースについて書きます。

まずは中国のチベットでの弾圧について。日本のマスコミがどの程度報じているか知らないですが、CNNBBCでは相当の惨状を報道しています。どちらも少なくとも80人の死者が出たと報じています。コソボの独立に触発されたデモなのかなとも思ってみたり。ダライ・ラマは"cultural genocide" だと言っているし。オリンピックをボイコットするかどうかということもあわせて報道されています。

まあ中国にしてみればこの程度の死者はたいした事ないのかもしれません。天安門事件の方が桁が1つ多いし、文化大革命にしたら6,7桁違いますから。それに中華思想から言えばチベットなど夷狄の一つでしょうからどうでもいいのかもしれません。そもそも中国は昔から今に至るまで人命が安い国だとおもいます。そのいい例が南京大虐殺という中国側のプロパガンダで日本軍がやったと言って聞かない三光作戦だと思います。日本人の常識から考えてありえないし、そもそもそんな概念すらないものをやったと言い張るのは本人たちにそういう意識が染み付いているからでしょう。

人権侵害、情報統制、そして食の不安まである国で本当にオリンピックをやるのかは前から疑問でしたが、その懸念が現実になりつつあるようです。

中国は今のところ経済発展が著しく、世界の工場として投資家の注目を集めていますが、中国共産党による一党独裁制の問題だけでなく、一人っ子政策による男女比の不均衡、急激な少子高齢化など国の根幹で抱える問題は多い様な気がします。工場としての魅力も人件費が高くなりつつあることで少なくなってきているようですし。北京オリンピック後に大規模な暴動が起こるという予想もあるようですからこのまま中国が持続的に発展するというのはないかもしれません。

変に毛嫌いするのもよくないですが、最低限対等、外交ではしっかりと戦略をもって接しないといけないと思います。バカな政治家みたいにやたらと媚びたり、中国のお偉いさんにあったらでれでれしているなんてもってのほかです。


もう一つ頻繁に報道されているのがアルバニアでの大爆発。デンマーク語のニュースですが爆発のすさまじさはよくわかると思います。原因は武器の廃棄作業中の事故のようでテロではないようです。しかし、アルバニアはコソボの隣、しかもコソボの住人はほとんどがアルバニア系という状況で、このタイミングだともしやと思ってしまいます。アルバニアは今週行くDubrovnikからもそんなに離れていないですし。

バルカン半島はヨーロッパの火薬庫と呼ばれますが、今回は本当の火薬庫が爆発したようです。これが他国に誘爆、飛び火しないことを祈ります。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-17 07:03 | 世界のニュース

散歩

今日は暖かな春の日差しの降り注ぐ穏やかな休日。こんな日は外に出ないともったいないということで市内の公園なんかを周ってきました。

はじめに行ったのはNørrebro地区にあるAssistens kirkegård。市内ではかなり広大な敷地面積を持つ場所です。しょっちゅう前は通るのですが今まで入ったことがないので行ってみました。kirkegårdというのは教会の領地といった意味ですが現在ではもっぱら墓地という意味で使われています。デンマークの哲学者キルケゴールも日本語にしたらお墓さんになってしまいます。

墓地と言っても木々や色々な花がたくさん植えられていて、ほとんど公園のようなたたずまいです。実際に家族ずれで散歩をしている人やジョギングをしている人たちがたくさんいます。ここの墓地はH. C. Andersenの墓があることでも有名です。

b0121425_322152.jpg


意外と地味な墓ですが基本的に他の墓も似たようなものです。フランスでは小さな家のような墓が並んでいたのとはかなり違います。ちなみにAndersenは実際はアンデルセンではなくアナスンという風に読みます。キルケゴールの墓もあるようですが見つけられなかったので断念。


その後、休憩のため一度研究所へ立ち寄りました。今日は特別にメインエントランスを大公開。

b0121425_3263366.jpg


バイオハザードの洋館のような雰囲気です。実際にバイオハザードマーク、毒物マーク、放射線マークはいたるところに見ることができますが。

こちらはCarlsbergのビジターセンター。

b0121425_3283979.jpg


月曜は休館。入場は3時までです。2人まで無料で連れて行けます。ご予約はお早めに。


会社裏の線路を渡るとVestre kirkegårdというこれまた広い墓地があります。Assistens kirkegårdの2倍以上の広さがあります。こちらも緑が豊かで散歩にはいい場所です。

b0121425_3323961.jpg



会社の近くにはさらにSøndermarkenという森があります。ここはかなり自然の森に近い感じで色々な小動物がたくさんいます。

b0121425_3382872.jpg


森を抜けると小さな教会があります。Jesuskirkenといいますが、Carlsbergの二代目社長、Carl Jacobsenが建てたものだそうです。会社周辺は住宅地になっていますが、もともとはCarlsbergのものでそれを切り売りして来たようです。

b0121425_3423535.jpg



日も傾いてきたのでそろそろ家の方向に向かっていきましたが、近所にも憩いの場所はたくさんあります。

このBispebjerg kirkegårdもかなり広いです。

b0121425_3445234.jpg


そして家の裏手にはUtterslev moseという広大な沼沢地があります。ここには年中多くの鳥が生息しています。

b0121425_3496100.jpg


ここもジョギング、散歩をしている人がたくさんいます。自分も遠出しない日はよくこの沼地周辺を散歩しています。

天気のいい日は遠くに行かなくても公園や森を散歩するだけで十分楽しめるのがデンマークのいいところですかね。まさにスローライフ。せかせかした日本には戻りたくないですな。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-17 03:57 | 日常

新しい抗がん剤

ネットが復活していたので連続投稿。原因は不明なままですがまあいいでしょう。

今回は化合物第二段。またしても自分で合成した化合物です。(Tetrahedron Letters 2006 , 47, 1177–1180)

b0121425_822748.jpg


この化合物、名前はspiruchostatinといいます。抗がん作用がある化合物として土壌の細菌から発見されました。発見したのは旧山之内製薬(現アステラス製薬)のグループなのでおそらく筑波山の土あたりから見つけたんじゃないかと思います。活性はより正確にはHDAC阻害作用で、遺伝子の発現を調整するHDACという酵素の働きを妨げる作用があります。HDACは遺伝子の発現を抑制する働きがあるので、これを阻害することで特定の遺伝子の働きを増幅することになります。HDAC阻害剤をがん細胞に作用させるとそれまで眠っていた細胞を細胞死へ導く遺伝子が活性化され、がんを自殺へ導くことが確認されています。これはいままでの抗がん剤とは全く違う仕組みのため、HDAC阻害剤は新しいタイプの抗がん剤として現在開発が行われています。このspiruchostatinも去年あたりアステラス製薬が臨床試験までいっているという報告を出していました。その後どうなったのかはまだわかりません。毒性があったといううわさも聞きましたが、こいつを結構大量に作った自分は今のところ何の問題もありません。

b0121425_8313489.jpg


化合物の構造に注目すると一見複雑そうに見えますが、4つのブロックをつなぎ合わせることで作ることができます。基本的にアミノ酸がつながっていて環をまいているので環状ペプチドと呼ばれます。ブロック6は作るのはそれなりに大変ですが、後は試薬会社から買えるものか簡単に作れるものです。spiruchostatinは発酵によって結構作れるみたいなので、わざわざ合成する必要性はないのですが、研究の目的は構成ブロックを入れ替えた誘導体合成だったので汎用的な合成法の開発を目指しました。

他のグループの先行研究もあり合成ルートはかなり似たようなものになりましたが、結構細かな工夫や新しい試薬を試してみて、もう少しスマートな合成になりました。完成までに要した時間は9ヶ月ぐらい。実際には他のテーマと掛け持ちだったので本腰を入れてからは半年もかかっていません。前回紹介した化合物の合成は修士課程の研究で2年ほどかかったので、それに比べたらはるかに早く完成しました。

その後、誘導体を作ったりと色々と応用研究をやったのですが、特許をとるということなので結果は未だに公表されていません。去年、指導教官が日本国内の大きな学会でその結果について話したようなのでもうそろそろ出してもいいと思うのですけど。この応用研究に1年半ほど費やしたのでその部分が話せないと自分の成果として宣伝する材料が減ってしまいます。この化合物を扱ったおかげで、在学中に1ヶ月イギリスに行く機会と国際学会で口頭発表する機会を得られましたが、ペーパーが出ないので結果として発表できないというデメリットもありました。次のポジションを探すには自分がどんなことができて、いかに組織に貢献できるかというのを示す必要がありますが、学会発表や論文は知識と技術を保証するものとして重要となります。こちらに来てから目立った結果が出ていないので、早くペーパーにしてもらいたいです。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-16 09:07 | 化学

ネットにつながらない

どうも今日になって家でネットにつなげなくなりました。パソコン、モデムは異常なさそうだし、ケーブルも問題なさそうなので家の外部に問題がありそうな気がします。そしてなんとなく原因ではないかと思う点があります。

昨夜は飲み会だったので深夜に帰宅。今日起きるともう昼過ぎだったので気付かなかったのですが、アパート1階の供用階段への入り口のドアが変えられています。ヨーロッパのアパートは大抵、供用スペースに入るドアは鍵がかかっているので、呼鈴を押して住人に開けてもらわなければ中に入ることができません。でもうちのアパートは入り口に鍵がかかっておらず、誰でも家の玄関まで来れるようになっていました。これはこれで郵便物が直接部屋まで届けられるなどメリットもあったのですが、セキュリティー上の問題から鍵を取り付けることになったようです。

それでおそらく今朝の間に工事が行われたようです。呼鈴のコードを壁に通す工事もいつの間にか行われていました。おそらくこのコードは各部屋まで伸びてくるのでしょうが、テレビ、電話用のコード類を通している部分を一緒に通ってくると思われます。工事がどこまで行われているのか、根元の部分がどうなっているのか分からないのでなんとも言えないですが、この工事の影響ではないかと思っています。でもやっぱりパソコンかモデムのせいかもしれないので家に帰ったらよく調べてみます。

しかし、ネットが使えないとPCはただの箱は言い過ぎかもしれませんが、ほとんど使い道がありません。今のところ家では仕事をしていないので、家のPCにはウイルス対策とPDF化ソフト以外ほとんど何のソフトも入れてません。Officeも前のPCにいれてたCD-ROMは持っているけどインストールしていません。家で使わないというのもありますが、最近ではGoogleで無料で使えますからおそらく必要ないでしょう。ということで家でPCの使い道はネットサーフィン、Skype、iTuneがほとんどで、どれもネットにつながらないとほとんど役に立ちません。Blogの更新もできないし不便でしょうがないです。

ほとんどWebブラウザとしてしか使っていないPCですが、去年買ったものなのでOSは無駄にVistaが入っています。これも本当に使えないOSです。グラフィックばかり凝っていて特に役に立つ機能は追加されていないし、何よりメモリが2GBも入っているにもかかわらず起動も終了も遅いという最悪なOSです。もういっそのことLinuxにでも変えようかとも思っていますが、よく分からないのでしばらくはこのまま使います。

最近ではほとんどのことがWeb上でできるようになってきているので、ネットを見てBlogを書いてというぐらいにしかPCを使わないのであればスペックはほとんど必要ないような気がします。写真なんかもストレージサイトに置いておけるし、ワープロ、表計算、プレゼンテーションもGoogleでWeb上で使えるようになっています。しかも大抵は無料で使えるし、ソフトをインストールする必要もありません。今後もこの流れは加速していくのでしょう。そうなるとゆくゆくは個人が持つものはPCではなく、端末になりホストサーバーから必要な情報をダウンロードして作業し、情報は常にホストに蓄えておくというふうになるかもしれません。大学の計算機室とかはこんな感じですがね。その方がOSのアップグレードとかストレージの増設とかいったメンテナンスの負担がなくなるので一般の特に機密事項もないユーザにとっては使い勝手がいいような気がします。近いうちにこういうビジネスも出てくるのかなと思います。
[PR]
by Y-Iijima_PhD | 2008-03-16 03:51 | 日常